「前にも言ったけどさ、沙良は鈍感すぎるよ。もっと女の子としての自覚を持たなきゃ。たとえ昔の知り合いでも兄貴見たない存在でも──」


俺はそう言って、沙良の顎を指で待つ。


「…く、黒川くんっ」


目をキョロキョロとさせて頬を染める目の前の彼女にまた狂わされる。


「いつケダモノになるかわかんねーよ?」


「…うっ、黒川くん、近いよ…」


「沙良がこっち見るまでやめない」


「ううっ…恥ずかしいよ」


もう付き合って結構経つっていうのに、沙良はまだまだこういう触れ合いに慣れてはくれない。


俺に触れられると過剰に反応するくせに、あいつに触れられても普通なんだよな…。


本当はもっと、俺だって…。