「へぇ…沙良が彼氏ね…」


小さくそう呟いたこうちゃんに、お兄ちゃんは「どーだ!参ったか!」とうるさい。


「はいはい。わかってるよ。沙良がもう俺の妹じゃないってことくらい」


「始めからお前の妹じゃないけどー?!」


「沙良、荷物運ぶの手伝ってくれる?ゴリラが邪魔して全然まともなおしゃべりできないからさ」


「あー?!てめぇー!誰がゴリラだー!」


「やめなさい、冬李」


「うぅー!だってー!」


「ほら、沙良。こうちゃん手伝ってあげて来て」


「うん」


私はお母さんに促されてから、こうちゃんの荷物を持って、こうちゃんと家の奥へと向かった。