「ねえ!どういうことなの?」

「なにが?」

「なにがじゃないわよ!矢原くんのこと」

そうまくんを指差しながら

綾乃ちゃんは聞いている。

「なにもないよ」

「なにもないことないでしょ!

ちゃんと話しなさい。」

「うーん。わかったよー!

あのね最初の委員会の日あったでしょ?………

…………………………ってこと!」

「うわー。やばい!キュンキュンするわ」

「何いってるのー?」

「だってあの矢原くんだよ?」

綾乃ちゃんは、未だに外を見ながらパンを

食べているそうまくんを指差してそう言った。

「うん」

「なんて呼ばれてんの?」

「ん?夕日って」

「きゃー!いいじゃんいいじゃん!」

「夕日はどーなの?」

「なにがー?」

「夕日は矢原くんのこと好きなの?って」

「す、す、好き!?そんなのわかんないよ。
変だなって思うぐらいで。」

「変??なにが?」

「そうまくんのことを考えると心臓がおかしく

なるくらいバクバクするの。今だって。」

「うんうん。キューって悲しくなることはないの?」

「うーん。あ、あるよ!

そうまくん、好きな子がいるんだって。

それを聞いた時、胸が痛かった。」

「その正体、教えてあげようか?」

「うん。教えて!」

「それはね、恋なんだよ。」

「こい?こい?鯉?」

「ばか!LOVEの恋よ!」

「えーーーーーーーーーーー!

私、恋してるのーーーー??????」

相当、うるさかったのか目の前の綾乃ちゃんが

耳を塞いでいる。

でも、私がそうまくんに恋?え?

「夕日、誰に恋してるの?」

後ろから聞き慣れた声が聞こえて、

後ろを振り向くとイケメンが…

「そ、そ、そうまくん」

私の声が大きすぎたのか。そうまくん、

ヘッドホンで音楽聴いてたもんね。

「うるさくしちゃってごめんなさい」

「全然いいけど。どーしたの?誰に恋してるの?」

「矢原くん、そんなの見てわかるじゃない。

夕日が恋してるのは「だめええええ!」」

急いで綾乃ちゃんの口を塞ぐ。そんなの

知られたら生きていけない。絶対叶わないし。

かわいいとか言ってくれるけど、

どこまで本当かわかんないし。

「とにかく矢原くんには教えない」

「えー!ケチ!

どんな感じの人なのかだけ教えて?」

「え?どんな感じの人?

それは」

「じゃあ、その人の好きなところ」

「好きなところ!?」

「そう。」

「え、えっと」

横では綾乃ちゃんがお腹を抱えて笑っている。

「その人は、カッコよくて、優しくて、

でもちょっと意地悪で、一緒にいて楽しいなっ

て思える人!」

きっと顔真っ赤な気がする。