〈Soma side 〉

保健室を出て、夕日に

「乗れ」

と背中を見せると、

「何、言ってんの!」

「あーあ、今度、駅前のアイス奢ってやろうと思ったのに」

なんて言うと

「え?乗る!」

と言い背中に乗る。本当に単純。

おんぶしながら

「本当に夕日は頑張り過ぎなんだから」

そう言うと

「きっとこの世界ではもっと頑張ってる人が

いるんだよ?もっと頑張りたいのに

頑張れない人もいるかもしれない。

後悔したくないんだ。」

バカなぐらい真っ直ぐとした答え。

夕日、好きだなぁ〜なんて

改めて思ってしまう。

自転車置き場に着くと、

「ありがとう」

「ばか!どーやって帰るんだよ?」

「そりゃ、自転車漕いで」

「馬鹿じゃねーの。俺の後ろ乗れ」

「え!良いの?」

「早く乗れ」

「わかった」

ぎー

「うわっ」

「危ないって!」

夕日の腕を取り俺のお腹らへんに巻かせる。

「きゃ。恥ずかしい」

「我慢しろ」

ちょっと自転車を漕ぐと、

「こけないでね」

なんて要望が。

「当たり前だろ」

夕日は入学式の日のこと覚えてないのかな?

「夕日。」

「ん?」

「自転車でこけたことってある?」

「いっぱいあるよ」

そうだった。夕日はよくこける奴だ。

「高校入ってもこけたことある?」

「うん。入学式の日もこけちゃったんだ」

お!ビンゴ!