〈Soma side〉

バカだろ。こいつ。

俺が好きなのはお前だって。

そう思いながら、

自分が喋っている内に寝てしまった

夕日を見る。少し口を開いたかわいらしい

寝顔。無防備だなーなんて思いながら

前髪を直してあげると

「んっ」

やべっ。起こしちゃった?

大丈夫。大丈夫。

あどけなく笑ったような寝顔に

愛しさを感じる。









俺が夕日を好きになったのは入学式の日。

自転車を漕いでると前の自転車を漕いでる

女の子が倒れた。

「大丈夫ですか?」

「あ、ごめんなさい!」

その女の子は普通ぐらいの身長で華奢で

かわいらしかった。同じ制服?かな。

同じ高校だ。

「ありがとうございます。

今度、お礼させてください。」

「全然大丈夫だよ。」

「お礼させてください。名前は?」

「大丈夫だけどな。まあ、矢原 奏真。」

「あ、ありがとうございます!

同じ高校ですよね?

今度、お礼させてください。」

折れた方がいいよな。

「うん。わかった。」

「はい!」

その子は笑顔でそう言い、

学校へ向かっていった。

この時、俺は人生で初めて恋をした。

それからクラスが同じだと知った。

きっと彼女は俺のこと覚えてないんだろうな。

それに、彼女はあまり人とは

話さないみたいだ。

「人見知りなんだー」

友達にそう言っていた。

そして今日、役員決めをした時、

じゃんけんに負けてしまい、

学級委員になってしまった。

そこに、

「えー!」

と言う声。