てっきり、トイレでも行ってて出てきたときに

私と会ったのかと思っていた。

「すいません」

と、矢原くんの一言。

「まあ、次からは気をつけろよ。

よし!全員揃ったな。始めるぞ」

その後、委員会は進み、私がさっきのことで

ぼーっとしてる間に委員会は終わっていた。

「…え!おまえ!」

「はい!」

「もう終わったぞ」

「え!?」

まさかのノートは白紙。や、やばい!

「お前なあー!」

怒られる!目をぎゅっとつぶっていると、

矢原くんのノートであろうものが

私の机に置かれた。

「え?」

「え?じゃねーよ。

ちゃんとそれ見て写してこい。

あの先生、厳しそうだし。」

「あ、ありがとう」

な、なんだ!優しいとこあるんだ〜。

そりゃそうだよね。矢原くんも人間だもん!

「ほら。もう帰るぞ。」

そう言われ、窓を見ると空は真っ暗。

おまけに大雨。雷なりそうだな。

早く帰らないと!

「う、うん。あ!カバン、教室だ!」

「取りにいくぞ」

「い、一緒に帰ってくれるの?」

「もう夜だしな」

優しいなあ〜。

教室に着くと鍵が閉まっていた。

ユキちゃん、もう戸締りしちゃったんだ〜

「か、鍵取ってくるね」

「ん。」

「いっ一緒には来てくれないの?」

「1人で取りにいけよ」

ですよね〜。一緒に帰ってくれるだけでも

すごく優しいよね。でも、教室は4階。

職員室は1階。

それも真っ暗な長い道。

こ、怖い!1人で壁伝いに歩いていると

ピカッ

「ひゃあ!」

ゴロゴロー

「うひゃ」

私は雷がこの世で一番苦手なんです。

腰を抜かしてしまい、

立てなくなってしまった。

ピカッ

「やっ」

ゴロゴロゴロゴロー

「もう!」

怖すぎるでしょ!涙が出そうになってると

「夕日!」

後ろから声が。

「や、矢原く〜ん!」

泣いてる私を見て、びっくりしたのか

「だ、大丈夫か?お前、何に泣いてんの?」

「かみなりが怖いの」

「おまえ、子どもみたいだな」

「う、うるさいよ!」

バカにしてきた矢原くんにムカついていると

ピカッ

「ひゃあ!」

思わず、矢原くんに抱きついてしまった。

「おまえ!」

「ごめん!」

急いで離れようとすると

ゴロゴロー

「やわりゃぎゅ〜ん」

「はいはい。」

と、雷が鳴り止むまで、

背中をさすってくれた。

「お前、本当にこども」

「うるさい」

ギーギー

「「ん?」」

矢原くんに立たしてもらい、

急いで2人で階段を降りると、

玄関はもう閉まっている。

も、もしかして

「閉じ込められた?」

職員室に急いでいくと、職員室も

閉まっている。

「や、やばいな」

矢原くんは焦りながら、廊下の窓を開け、

運動場に出て、大きな門を見るけれど

「閉まってる」

私のせいだ。私が雷が嫌いだから。

私のせいで矢原くんに迷惑かけてしまった。

「ごめんなさい」

頭を下げると

「何言ってんだよ。別に仕方ないだろ。」

本当に優しいなぁ。

「お前、一人暮らし?」

「うん。お母さんとお父さんは外国に

住んでるから。」

「そっか。まぁ、でも心配してるって連絡は

来ないな。」

言ってる意味が分からなくて、首をかしげると

「お前、携帯もカバンの中だろ?

携帯無いと、連絡できないから。」

「そっか。本当だね。

矢原くんは?」

「俺も1人暮らし。」

「そっかー」