俺の顔を見るなり焦って口を開けた。
「あ、あ、あ、あ、あ……」
言っちゃ悪いが、気がふれた女が来たかと思った。
そいつは、顔を真っ赤にしてもじもじとしている。
俺を見つめて、力んで叫びだした。
「天見先輩!」
肩で息をするように、ハアハアとすでに息切れしている。
目だけはまっすぐに俺を見て、そして熟したトマトのようになっていた。
「な、なんだよ」
「そ、その、あの、私、叶谷希望といいます」
「叶う……や、ノゾミ?」
「叶う谷と書きますが、カノウヤです。ちなみにノゾミは『希望』と書いてノゾミと読みます」
「カノウヤノゾミ?」
まるで希望が叶うとでも言いたげなストレートな名前に、俺は少なからずも驚いた。
「は、はじめまして」
「で、俺になんか用?」
「は、はい。あの、その、どうか私と付き合って下さい」
「はっ?」
ノゾミは燃えてもおかしくないくらい最高に真っ赤になっていた。
「お、お願いします」
勢いつけて頭を地面につけるように下げるから、体が二つに折れたかというくらい全力で俺に頼み込んでくる。
「おい、ちょっと待て、お前、一年生か」
「はい、そうです」
「だったら、入学したばかりで知らないかもしれないが、俺はそういうの興味ないから。それに迷惑なんだけど」
「わ、わかってます。天見先輩は気軽に女の子と付き合うような方じゃなく、存在そのものが、学園の王子さまのような、それはそれはもう、恐れ多いくらいのお方です」
「それはちょっと大げさな」
「私なんかが、言うなんて、おこがましいのは充分承知です。しかし、どうかお願いします。三ヶ月だけでいいんです。もちろんただとは言いません。一億円払います」
「えっ!? 一億円?」
「はい。一億円で私と付き合って下さい!」
「ちょ、ちょっと待て。俺を金で買う? しかも一億円? 正気か、お前?」
「も、もちろんです。支払いは三カ月後、期限が来たら必ずお渡しします」
「そんな金どこにあるんだ? 桁が違いすぎるし、あまりにもバカバカしい」
「でも、ちゃんと用意できます。それに、たった三ヶ月間でいいんです」
「あのな……」
「お願いします。私、天見先輩が、大好きなんです!」
「あ、あ、あ、あ、あ……」
言っちゃ悪いが、気がふれた女が来たかと思った。
そいつは、顔を真っ赤にしてもじもじとしている。
俺を見つめて、力んで叫びだした。
「天見先輩!」
肩で息をするように、ハアハアとすでに息切れしている。
目だけはまっすぐに俺を見て、そして熟したトマトのようになっていた。
「な、なんだよ」
「そ、その、あの、私、叶谷希望といいます」
「叶う……や、ノゾミ?」
「叶う谷と書きますが、カノウヤです。ちなみにノゾミは『希望』と書いてノゾミと読みます」
「カノウヤノゾミ?」
まるで希望が叶うとでも言いたげなストレートな名前に、俺は少なからずも驚いた。
「は、はじめまして」
「で、俺になんか用?」
「は、はい。あの、その、どうか私と付き合って下さい」
「はっ?」
ノゾミは燃えてもおかしくないくらい最高に真っ赤になっていた。
「お、お願いします」
勢いつけて頭を地面につけるように下げるから、体が二つに折れたかというくらい全力で俺に頼み込んでくる。
「おい、ちょっと待て、お前、一年生か」
「はい、そうです」
「だったら、入学したばかりで知らないかもしれないが、俺はそういうの興味ないから。それに迷惑なんだけど」
「わ、わかってます。天見先輩は気軽に女の子と付き合うような方じゃなく、存在そのものが、学園の王子さまのような、それはそれはもう、恐れ多いくらいのお方です」
「それはちょっと大げさな」
「私なんかが、言うなんて、おこがましいのは充分承知です。しかし、どうかお願いします。三ヶ月だけでいいんです。もちろんただとは言いません。一億円払います」
「えっ!? 一億円?」
「はい。一億円で私と付き合って下さい!」
「ちょ、ちょっと待て。俺を金で買う? しかも一億円? 正気か、お前?」
「も、もちろんです。支払いは三カ月後、期限が来たら必ずお渡しします」
「そんな金どこにあるんだ? 桁が違いすぎるし、あまりにもバカバカしい」
「でも、ちゃんと用意できます。それに、たった三ヶ月間でいいんです」
「あのな……」
「お願いします。私、天見先輩が、大好きなんです!」