「痛々しい?」

「ああ、自分でも本当は釣り合ってないというのをわかってながら、必死に天見についていこうとしているからさ。かなり惚れてるのはわかるけど、あれじゃご主人様に仕えようとするメイドだな。そしてお前はそれをわかった上で面白がってる。なんだか、可哀想に思えるから、アンバランスって言ってるだけ」

 江藤のいう事も一理あったから、不機嫌にぐっと言葉が詰まってしまった。

 江藤は敏感に俺の気持ちを読み取り、それを取り繕うとして、慌てて付け加えた。

「でも、顔を赤くして無理している姿は、素直で従順な感じがしてかわいいとも言えるけどな。もう少し、自分に自信を持ってしゃきっとしたら、あか抜けてくるかも」

「お前は色々と観察して、細かく分析するよな。いちいちうるさいぞ」

「いいじゃないか。顔も頭もよくて、天見は常に女にもてるから、どんな女と付き合うのか気になるじゃないか。それに、どんな女の子がタイプなのか、いつも周りから訊かれるし、ちゃんと答えられるようにしておかないと」

「誰にそんなことを訊かれるんだよ」

「いろいろさ。俺も天見のお蔭で美味しい思いさせてもらってるから、観察はやめられないの。それに、俺は天見の親友だし、常に一緒にいるしな」

「お前が勝手に近寄ってきてるだけだろ」

「あれ? そんな事言いながらも、親友だと認めているくせに。天見はとにかく素直じゃないな。そういうところも含めて俺は何でも知ってるから、付き合っていけるんだぞ。他の奴だったら、そうはいかないぞ」