この時、マンションの入り口のドアの外で、花粉症対策の大きなマスクをした若い男が立っていた。
ノゾミは、それを見るとハッとした顔つきになった。
「先輩、それじゃまた明日。今日は本当にありがとうございました」
最後は早口で言うや否や、俺をエレベーターの中に全力で突き飛ばしてくるから、不意を突かれて俺はヨタつき中に入ってしまった。
ヨロヨロと壁にもたれ、俺が顔を上げた時にはノゾミはすでに姿を消し、ドアが閉まるところだった。
あまりにも突然の事に虚を突かれて、俺は暫く固まっていた。
その場に捨てられ、プライドを傷つけられたように虚しくなり、あまりの扱いにただ驚くばかりだった。
「なんなんだ、アイツ」
ドアを開こうとボタンに手を掛けたその時、上の階に呼び出されて、エレベーターは上昇してしまった。
ちょうど自分の住んでる階で止まったものの、乗る人と入れ変わるようにそのまま降りざるを得ず、エレベーターを降りてもなんだか腑に落ちずに、その場に佇んでしまった。
やっぱりノゾミの行動が摩訶不思議で、俺の調子が狂ってくる。
それはコケにされて腹が立ってくるようでいて、また滑稽な無様な自分の姿に笑えるようでもあった。
俺が女に振り回されている。
叶谷希望──
その名前を呟けば、俺も対抗心が湧いてきた。
こうなったら、お前にとことん付き合ってやろう。
三ヶ月後に約束したその一億円とやらを見せて貰おうじゃないか。
きっとそこに、なんらかの落ちがあるのかもしれない。
どういう形でそこに落ち着くのか、俺はそれが見てみたいと思った。
ノゾミは、それを見るとハッとした顔つきになった。
「先輩、それじゃまた明日。今日は本当にありがとうございました」
最後は早口で言うや否や、俺をエレベーターの中に全力で突き飛ばしてくるから、不意を突かれて俺はヨタつき中に入ってしまった。
ヨロヨロと壁にもたれ、俺が顔を上げた時にはノゾミはすでに姿を消し、ドアが閉まるところだった。
あまりにも突然の事に虚を突かれて、俺は暫く固まっていた。
その場に捨てられ、プライドを傷つけられたように虚しくなり、あまりの扱いにただ驚くばかりだった。
「なんなんだ、アイツ」
ドアを開こうとボタンに手を掛けたその時、上の階に呼び出されて、エレベーターは上昇してしまった。
ちょうど自分の住んでる階で止まったものの、乗る人と入れ変わるようにそのまま降りざるを得ず、エレベーターを降りてもなんだか腑に落ちずに、その場に佇んでしまった。
やっぱりノゾミの行動が摩訶不思議で、俺の調子が狂ってくる。
それはコケにされて腹が立ってくるようでいて、また滑稽な無様な自分の姿に笑えるようでもあった。
俺が女に振り回されている。
叶谷希望──
その名前を呟けば、俺も対抗心が湧いてきた。
こうなったら、お前にとことん付き合ってやろう。
三ヶ月後に約束したその一億円とやらを見せて貰おうじゃないか。
きっとそこに、なんらかの落ちがあるのかもしれない。
どういう形でそこに落ち着くのか、俺はそれが見てみたいと思った。