去年のクリスマスイブ以来、わたしはお兄ちゃんに
いちども逢えていない。

あの日キャビンを出たあと、わたしたち五人はそれぞれ
みなまっすぐに家に帰った。

お兄ちゃんたちは仲間でどこかへ繰り出して行ったのだけど、
どこに行ったのかは知らない。

オニイチャンはといえば、結局帰ってきたのは三日後だった。

あのあとどうしたのかなんてとても訊けないし、
訊けば「なんで?」といわれるにキマッテル。

「なんで、そんなことキク?」と。

そうなれば「べつに」というしかない。もとの木阿弥になること明白だ。

なら、訊かぬほうがいい。