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「あ、ケイトだ!」
ひとりの少年の声を合図に、他の子どもたちがいっせいにケイトリンに駆け寄ってくる。「こんにちは」と挨拶をしながら、ケイトリンは門をくぐった。その後ろにマノンと数名の侍女、最後にギースが続く。手入れのされていない扉は、ギギギときしみながらゆっくりと彼女たちを迎え入れた。
週に二度、ギースとともにこの教会に来るようになってすでにひと月が経とうとしている。子どもたちはすっかりケイトリンに慣れて、彼女の来訪を心待ちにしていた。
「ギース! 一緒に遊ぼうぜ」
すでにギースは少年たちに腕を取られている。
「いつも、ありがとうございます」
教会の牧師であるフェルナンドは、白髪頭を下げるとケイトリンから荷物を受け取った。
炊事場ではマノンの指示で、炊き出しの準備が着々と進んでいく。当初は反対していたマノンも、一度教会に来て子どもたちに接すると、すぐに積極的に手伝うようになった。といっても、ケイトリン自身がここを訪れることに賛成しているわけではなかった。