暗がりの中、馬にまたがり、レイフは自分の軽率な行動を恥じた。
会うつもりなどなかったのに、泣き声がするから思わず声をかけてしまったではないか。そう自分に言い聞かせながらも、それが後から作った自分自身を納得させるための言い訳でしかないこともわかっていた。
ペンダントを返すことが目的なら、ギースに渡せばいいだけの話だ。それをわざわざ仮面をつけて、部屋に侵入するなど、何を期待していたのだろう。しかも、言うつもりのないことまで口にして、結局ケイトリンを悲しませるだけだ。
それにしても、とレイフは思った。死ぬ前日に娘に宝石を託すなど、まるで自分の死を予感していたようではないか。年頃の娘に贈るならともかく、ケイトリンは当時まだ9歳だ。とてもこのペンダントが似合う年頃ではない。
レイフは落とさないようペンダントの鎖を首に掛けた。宝石を掌にのせると、そっと口づける。長年ケイトリンの胸にあったものだと思うと、まるでそれが彼女自身であるかのように高揚感を覚えた。
軽く馬の腹を蹴ると、彼の愛馬はゆっくりと王宮に向かって歩き始めた。
会うつもりなどなかったのに、泣き声がするから思わず声をかけてしまったではないか。そう自分に言い聞かせながらも、それが後から作った自分自身を納得させるための言い訳でしかないこともわかっていた。
ペンダントを返すことが目的なら、ギースに渡せばいいだけの話だ。それをわざわざ仮面をつけて、部屋に侵入するなど、何を期待していたのだろう。しかも、言うつもりのないことまで口にして、結局ケイトリンを悲しませるだけだ。
それにしても、とレイフは思った。死ぬ前日に娘に宝石を託すなど、まるで自分の死を予感していたようではないか。年頃の娘に贈るならともかく、ケイトリンは当時まだ9歳だ。とてもこのペンダントが似合う年頃ではない。
レイフは落とさないようペンダントの鎖を首に掛けた。宝石を掌にのせると、そっと口づける。長年ケイトリンの胸にあったものだと思うと、まるでそれが彼女自身であるかのように高揚感を覚えた。
軽く馬の腹を蹴ると、彼の愛馬はゆっくりと王宮に向かって歩き始めた。