清潔なシーツの上で目が覚めた。
壁も床も全てが白くて目がチカチカする。
どう見たって病院だが...来た覚えはない。むしろ最後の記憶はたしか、家だった。ならばどうしてここにいる?
周りを見るも床と壁と自分だけ。窓すらないのは設計者のミスと言うよりかはどこか悪意があった。きっと機密事項が多い後暗い団体が作りでもしたのだろう。そう思えばどこかかび臭い様な気もする。
立ち上がって自分を眺めてみるも、それが自分のいつもの服なのかそれとも無理やり着せられたものか分からない。
はて、僕って日常から白衣なんぞを着る趣味ってあったっけ。いや、ない。てことは着せられたってわけだ?
白衣の下はきっと私服なのだろう。ヨレヨレの学ランを着ている。シワが寄っていてアイロンをかけたくなる衝動に駆られる。でも今はそんなこと言ってられない。
ていうか学ランと白衣って相当ダサくないだろうか。
あれ?なにか一番大事なものを見落としてはいないだろうか?
僕は首をかしげてはて、と呟いた。
そうだ。ドアだ。ドアが無ければここに入ることも出ることも不可能なのでは?
でもドアは...。
「ない...?」
周りを白い壁に包まれていてどう考えてもそれらしきものはない。
監禁とか言うやつだろうか。いやその前にもうここに連れてきたやつは既に誘拐という大罪を犯しているわけだ。面白い。
面白い?
うん。面白いさ。
僕は自分が興奮しているのに気がついた。久しぶりの冒険って訳だ。ならば楽しまなくては。
僕は壁伝いにそっと周りを探索していく。ここに入れたってことは絶対入口があるはずだ。なら。
「ん?待てよ?相手は今監禁してるってことで、なら僕ならどこに閉じ込める?」
数秒考えて床をくまなく調べるとやはりそれはそこにあった。
白い床にうっすらと線が走っている。その線は長方形をしている。ドアだ。