「勘違いしないで、あなたを心配しているわけじゃないのよ?」
須田さんは、肘下までまくったワイシャツから覗く白い腕を、胸の前で交差させて組んだ。
「私が心配しているのは、海音よ」
「……かいとくん、何かあったの?」
「今日の海音も、なにかおかしかったわ」
「………」
私で、遊んでたのに。
もし落ち込んでいたとしたって、別に私は悪くない。
「あんな海音みたことないわ」
「え?」
「授業中、ちらっと海音を見たら、口から魂が抜けかかっているんだもの」
「……」
なにそれ。
「あの海音をあんな状態にできるなんて、あなたくらいしかいないじゃない。
海音となにがあったの?」
「な、なんで私…?」
「決まってるじゃない」
大きくため息をついた須田さん。
そのあと、その大きな瞳できらりと私を見てきた。