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授業中も、かいとくんとは一切目を合わせることはなく。

そのまま時間だけが過ぎて、やっと放課後。


「なっちゃん、一緒帰らない?」

「帰り道どーせ一緒でしょ? 太一君」


なっちゃんに声をかけようとしたら、あろうことか太一君に先を越されてしまった。

っていうか、体育祭の日から毎日あのメンバーで帰ってたな。


それも、いつの間にか私の中では普通になってて。


「……はあ…」


でも、今日は、あんまり大人数で帰るのは嫌だな…。


「なに、ため息なんてついて、あなたらしいじゃない?」

「え」


前から、もうすっかり聞き慣れた声で話しかけられる。

見れば、教科書を丁寧に鞄にしまっている須田さん。


「一緒にかえってあげてもいいわよ?」

「……」


その時、かいとくんの視線を感じた。

何か話しかけられる前に、一刻も早くここからいなくなりたい。

その気持ちの方が強かった。