「やば、これ、想像以上に破壊力やばい……」


めまいがした様子を表すかのごとく、くらっと天井を仰いだかいとくん。


「今日を、“絆奈が僕のメイドになった記念日”にしよう」

「お、大げさだよ……って、『僕の』ってどういうこと!?」

「え? そのままの意味だけど?」


にこにこと嬉しそうなかいとくん。

や、あなたのメイドになった覚えはないよ!?


「絆奈はどうあがいても、僕だけの絆奈だよ?」

「……も、もう着替えるからあっち行って~!!」


恥ずかしさのあまりそう叫んでカーテンを勢いよく閉めると。

ほどなくしてどんよりと重苦しい空気が流れ込んでくる。


「……絆奈に『あっち行って』って言われた……。僕はもう舌噛んで死ぬしかない……」


その空気とともに悲しそうな声が聞こえてきて。


「………っ、ちょ、と、待ってて…!!」

「はーい」


たまらず言い直せば、がらっと変わったあかるい返事が聞こえてきた。


「もう……」


……本当、子供みたい。