「む、無理!! こんな恥ずかしいの無理!! 今回の文化祭だって、メイド服を着たくないからこうやって買い出しの係になったわけだし……!!」


その時。
話し合いの時のかいとくんの言葉をふと思い出した。


『…絆奈をメイドにするのはやめてくれる?』


「そ、そうだよ…かいとくん、私にメイド服着せるなって言ってたじゃない……」

「うん、言ったよ?」

「私、あの時かいとくんが私の気持ちを察して言ってくれてたのかと思ってたから、嬉しかったんだよ? なのにどうしてそんな、コスプレなんてこと……」


かいとくんの持っているフリフリのメイド服が視界に映る度に、えも言えぬ恥ずかしさに襲われる。

しかし当のかいとくんは、不思議そうに首を傾げた。


「あー、あれはね」


すっと私の頬に手を当てるかいとくん。
……また、いつもの怪しい雰囲気に包まれた。


「だって、こんな可愛い姿の絆奈を、他の奴らに見せるわけに行かないでしょ? もしも僕以外の奴らが見ちゃってたら、たぶん僕、そいつらみんな殺しちゃう」

「……っ!?」


ぞくりと嫌な汗が背中を伝って。

私は、一瞬息を止めてしまった。


そ、その為に…あんなことを……?