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「あ、かいとくんここなんてどうかな?」


やっと目当ての物が買えそうな手芸屋さんを見つけた。


「えっと、黒主体の生地に、白いフリフリのエプロンって言ってたよね? この辺の布があれば足りるかな?」


いろんな生地が並んでいる中、私はかいとくんにそう訪ねた。

…しかし、かいとくんからの返答はなくて。


「かいとくん?」


ふとかいとくんを振り返ると。


「絆奈、こんな所にコスプレが」


なんと彼は、フリフリのメイド服を持っていた。


「…ど、どこから持ってきたの!?」

「あっちにコスプレ用の服、何着も置いてあったから」


かいとくんは、手芸屋さんの奥の方を指さして淡々と告げる。


「ねえ、これ、僕のために着て?」

「えええ!?」


な、な、何を言い出すんだこの人は~!?!?