まだ、手は繋がれたまま。

隣を見れば、いつも以上に上機嫌なかいとくん。


「~♪」


うわあ、ハナウタまで歌ってる…。

本当に嬉しそう。


「あの、かいとくん」

「んー?」

「そんなに……私なんかと出かけるの……嬉しい…ですか?」


するとかいとくんは、パアッと顔を輝かせながら私の方を向いた。


「だって絆奈との初デートだよ? 嬉しすぎて、僕は今死んでも本望だよ?」

「し、死ななくていいから……」


もう、どうしてこの人はこうも簡単に、死ぬだの殺すだの物騒なことばっかり言うんだろう…。


「ね、絆奈」

「?」

「毎日しようね、制服で放課後デートもいいかも。
クレープをほおばる絆奈、アイスをおいしそうに食べる絆奈、プリクラを撮ってはしゃぐ絆奈…」


かいとくんが、いつになく優しい笑顔で私を見つめてきた。


「いろんな絆奈を見たいよ、僕は」

「……っ」