「で、デートでは…ない…です…」


恥ずかし過ぎて下を向き、口元を両手で隠すようにして。


「……」


すると海音君は、そんな私の否定の言葉を聞いた途端。

さっきまでのにこにことした笑顔は消え失せ、悲しそうにうなだれた。


「もう舌噛んで死ぬしかない…」

「っ」

同じクラスになった日に言われたことを思い出す。



『君のためなら、舌噛んで死ねるよ』



あのときの危なげな雰囲気そのもので。

どんよりとした空気がかいとくんを包んでいて。



「し、死なれたら困るよ…!!」


もう…どこまで本気なのか分かんないよ!

私がそういえば、かいとくんの視線がゆらりと揺れた。