静かに触れた唇。
瞼を閉じた綺麗な顔がドアップにあって、私は息を止める。
脳内パニック!
たくさんのわけの分からない文字が脳内を駆け回る。
「俺一度もお前のこと見下してなんかいないし。むしろ苛めたいくらいの勢いでしか見てないし」
離れた部長がすました顔で言う。
すみません、何言ってるのかサッパリ……。
だって、頭回らないんだもん。
わけがわからなさ過ぎて、穴が開くほど見続けてしまった結果、部長と目が合った。
「なに」
「え、や、あ〜……。いじめたい?」
「苛めたい」
即答ですかっ。
てか、もうこの距離ムリだよ~。
「……もう苛められてますけど?」
部長の色っぽい視線と絡み合う。
恥ずかしいけど、逸らせられないのが残念でしかたない。
「部長、あんな伝え方じゃ伝わりませんよ?」
「……悪かったな下手で。てか部長じゃねぇし。あと逃げるなよ」
に、逃げてなんか、ないし?
ただ反ってるだけだし……って、ムリ!
こんなのって!
「苛めたいくらい、姉田が好き」