「おいっ姉田!」



そんな声とともにガクンと歩き進めていた足が止まった。


振り向かなかった。じゃなくて、振り向けない。


触れてる部分が熱い。



なに……走ってきたんですか?




後ろから聞こえる乱れた呼吸で察する。






「……っ何回呼んだと思ってんだよ」


「…………」





久しぶりの部長の声にいちいち胸がうるさくなる。そして息苦しい。


でも、それ以上に嬉しい。




「こっち向けよいい加減」



そう言って回された私の体。
私の目線は部長の腰あたりしか見えていない。


顔なんて上げられない。こんな顔見せられないから。



止めたいのに涙が勝手に溢れてくる。





ばか。部長のばか。自分のばか。





私、変に期待しちゃいますよ?