休憩タイムはあっという間に過ぎていった。


みんなとお別れして、1人ロビーに向かうためエレベーターに乗った。





いや~、みんなの成長が楽しみだなあ。




仁田くんなんて主任だって言うし。



頑張ったんだね。


そう別れ際に言うと照れながら『ありがとうございます』って笑ってた。



ほんの少しの仁田くんとの会話を思い出す。



『ところで今日はなんでここに来たんですか?』


『社長にご挨拶と今年の活動履歴書を提出しに来たの』


『てことは、まだ会えてないんですか?』


『え?』


『鬼口部……専務、この本社に戻って来てるんですよ』




その途端、ドクンと大きな音が体中に響いた。


私の表情をみた仁田くんに『苦しくないんですか?』なんて聞かれちゃった。


そりゃ、苦しいに決まってるじゃん。


こんなに想い続けているのに何もできない。


ボタン一つで繋がることも出来るのにそれすら怠ってしまう。



困るよね~。
名前負けしてるあたり。

それに相応しい人になるためにここまで頑張ってきたりしてるのに、こういった面では全然成長してないじゃん。





大きなため息とともにエレベーターから出た時だった。






女性と仲睦まじく歩いている鬼口陽人を見つけた。