「かれんちゃん、さっきのは全部デマだよ」
笑顔は健在。
でも彼女に向ける笑顔はより柔らかくさせた。
まったく、許せん!
仁田くんがこんなデタラメ言うような子だと思わなかったよ私。
もう一度彼を見るとカラ笑いを浮かべてた。
ふ、いい気味だね。もっと怖い顔してあげようか?
……しないけどね?安心しなよ。ほらそんな遠くに行かないで。
「え、デマ何ですか!?えー」
「や、なんでガッカリしてんのよ」
「だって仁田先輩の話ではふたりは、っ!」
なぜか、かれんちゃんは顔を青くさせた。
その視線の先には仁田くん。
……わーお、すっごい顔。今にも角が1本生えてきそうだ。
かっこいい顔が台無しだよ。
近くに彼女さんいるのに、よくそんな顔ができるもんだね。素晴らしいね。
私はこの場を楽しむように改めて部署を見渡した。
特にこの2人の様子になんかものすごく愛おしく感じた。
私もあんな感じだったのだろうか。
いま、ものすごく部長に会いたいな……。