みんな元気で何よりだった。

といっても、知らない顔がほとんど。



ほんの少しディスプレイも変化してて、新鮮でもあった。


それは今日のイベントのせいかもしれないけどね。



さっきのガラ空きは各店舗を班ごとで廻っていたからだったみたい。


うん。それも懐かしい。





「美紅さんってあの鬼口専務と恋仲だったんですか?!」





みんなで談笑中、入社2年目ぐらいだろうか。まだ初々しさのある可愛らしい女の子が身を乗り出して聞いてきた。




ねえ、飲みかけたホットコーヒー口から吐きそうになったんだけど……。



インパクトある発言を残した彼女の名前覚えときたい。




「あなた名前は?」


「あ、私、真希かれん(マキ カレン)っと申します!私、美紅さんと鬼口専務のお話好きなんですよ~」





笑いながら絶句した。


名前まで可愛いなって感心してたのに、鈍器で殴られた感覚に襲われた。




私と鬼口専務の話?


いや、それよりも何。
鬼口部長、専務になってたの!?


エエ?!





「ジンタくん?」





彼を見つけた私は手を招く。





君だよね~?
私と鬼口部長の話をしたのは~。
違うかい?



そんな思いを込めて彼に微笑み続ける。


喉仏が上下したのが分かった。