「で!美紅さんはー、恋したことあるんですかあ~?」




不意に聞こえた勢いのある問いかけにハッとする。



目の前を見れば、同僚の真奈(マナ)ちゃんがジョッキビールを片手にヘラヘラ笑っていた。




おお、相変わらず飲んだな~と感心しつつ、首を傾げる。





「みくさんは、恋愛した経験あるんですかー?」


「……ない、かな~」





そう言うのが正解だと思った。

肯定すれば私の心が後々保たなくなると判断したから。



真奈ちゃんは口を尖らせて嘆きながらまた飲むから隣に座っている雅(ミヤビ)が制した。





「真奈、ほんと飲み過ぎだからっ」


「お酒好きなの~っ、!じゃ~あ、美紅さんがぁ、本当のこと言ったらやめるぅ~」


「「はあ?」」



私と雅は声を合わせて目を見開かせた。