──ガシッ。
「わ!??」
突如頭を掴まれた。
少し上を向かせられる。
視線がバッチシ合わさった。
ダラダラと汗が出るでる。
椅子がギシッと音がしたのを耳にして、真凛が逃げたんだと確信した。
まりんーー、なんで逃げるのーー!助けてよっ!
ばかーー!
心の中でそう叫ぶ。
「あは、アハハ」
「何笑ってんだよ」
どうしよ、おわった、最悪。
部長の顔怖い。目を逸らしたい。でも出来ない。
だって、逃げ場がない。
「おい」
「は、はいっ」
「いま何時だ?」
腕を顔まで持ち上げて腕時計を見た。
「え、えっと……9時……よんじゅ、ぎゃあああああああああ!」
痛い!イタイイタイっ!
部長の拳がこめかみに……っ。
ひどい!鬼過ぎる!まだ新人だよ私っ。
涙目になって部長を見ると大きなため息を吐かれてその場を離れていった。
その後ろ姿を睨んでいると不意に後ろを振り向いて「置いてくぞ」そう言うから慌ててその背中を追った。