これでも気を取り直したつもり。
いつまでもクヨクヨなんてしてたらみんなに迷惑かかるから。
だから、笑顔でいないといけない。
「ぅヨッシャーー!頑張るぞっ!」
突然声を上げた私をこれまた肩を跳ねさせる部署のみんなにハッとして頭を下げた。
今度喝いれるときは、みんなが見てないところでやろ……。
うん。そうしよ。ごめんなさい。
「美紅さん、ほんと面白いですよね」
後ろからそんな声がしてくるっと椅子を回転させた。
「……それどーゆー意味よ」
クスクス笑う後輩の仁田くんを睨む。
「すみません。やっぱまだ好きだなーって」
──プシュ~。
な、なんてこと言うのっ。
君、バカなの!?え?ここ職場ですけど!?
「ちょっと、そんなこと今言わなくてもいいでしょうが」
「言いたくなっちゃったんで、すみません」
「はぁ……」
仁田くんはまたクスリと笑った。
この子まったく反省してない。
生意気な!
でもね、知ってる。
私を思っての発言でしょ?
だって私いま笑えてるもん。
ありがとうと彼にしか聞こえない声で言うと、「いーえ」と知らん顔して言う仁田くんの耳が真っ赤に染まってみえた。