『好きな人のそばにいたくて』




自分でもまさか本当にこの会社に勤めることになるとは思わなかった。ってほろ酔い気味の真凜が照れて笑ってた。





入社して早3ヶ月。




真凛の好きな人は二つ年上の販売部の人。
そして、高校の先輩なんだって。




名前は……彩瀬叶夢(アヤセ カナト)。




まだ私はお目にかかれていない。


けど、話を聞けばとてもかっこいいらしい。
優しくて、可愛くて……真凛から聞く好きな人の特徴は全てポジティブだったから、もうとにかくいい人なんだなって思うことにした。





「でも、すごいよね。もう接近出来ちゃってるんだもんね」


「……何その言い方〜」


「え、あ、ごめん!?」




頬を膨らませる真凛はとにかく可愛いのだけれど、つい……。




「ふは、なんで謝るのー。冗談だって、ほんと美紅って面白いよね!……あ」





私の肩を笑いながら叩いていると、何を見つけたのか急に表情が引きつった。