いいなって何。

その手は何。




それに、ここ人いるし。もし会社の人に見られたらどうするの?



本社とは別の区域に来ているのに要らない心配をする。





「みてて飽きない。ほんと困るくらい」




なんでそんな顔して見るんです、か?




頭に置いてた大きな手がするっと滑らせて髪の一束をすくった。




その仕草にいちいち胸がうるさい。


周りも静かなせいで自分のこの音が聞こえちゃいそう。





「バカだし、ドジだし、ころころ変わるし、……むかつく」


「はい?!」




思わぬ言葉に堪らず声を出したけど、「そこは黙っとけよ」と突っ込まれてしまった。



いや、黙れません。

なにめちゃくちゃディスってるんですか!?




ドキドキしてた時間返してくださいよ。



なんて言えるわけない。そんなこと言ったらまた馬鹿にされる。




私は小さく息を吐いた。