「っ!?」


「……なに」




なに?


それは私のセリフなんですが!?え?なに。


私、声に出てた!?




「……そんな見られると困るんだけど」


「え……あ、すみません?」




??
私なんかしたかな?


てか、ショック。私のメンタルガタ落ちしたよ。


私もう帰りたい。





「はぁ、そんな顔すんなよ、姉田らしくない」


「う、わっ!ちょ、何するんですか!」




せっかく綺麗にブローしてきたのに。

ぐしゃぐしゃにされちゃった。




全く、誰のために……っ。

ちがう!違うから!誰の為でもなくて、自分のため!


そう全ては自分のため!




「ふは、何その顔」


「えっ?」


「ころころ変わりすぎ。これだから──」




え、なに。

『これだから』の次なんか言いましたよね?




聞こえなかった。ウィンドウが開いてるからよく環境音が聞こえるわけで。


なによりタイミングが悪いよ救急車……。




口パクでも分かんない。なんて言ったんだろう。




……だいたいは予想はつくけどね。



車は前進してスピードを上げだした。


チラリと部長をみた。




気のせいだろうか。

ほんのり耳が色づいているのは。