──ザー。
窓の外をみた。
灰色に霞んだ朝を迎えた。
時刻は9時30分を回っている。
遅刻と言いたいところだけど、なんとも言えないこの感情に私はただ暫くまっすぐ降り続ける雨を眺めた。
夢には幸い出てこなかった。それは本当によかった。
けど。
朝、いつも通りに起きると一通のメールが届いていた。
相手は、嫌いで好きな人。鬼口陽人からだった。
初めてのメールだった。
【今日は俺に付き合え。昼12時本社の前で待ってる】
その文字に悔しいけど嬉しくなってた。
それからだ。
いろいろ服を決めて鏡の前でうろついて、読もうと思って買ったファッション雑誌を棚の奥から引っ張り出して、クローゼットから出した服とにらめっこ……。
なかなか決まんなくて気付けば、9時30分。
そして更に気付く。なんでこんな必死に服選びしてるんだろうって。
仕事上でのお誘いなのに。部長と付き合ってもないのに。
いくらメールに【付き合え】ってあったからってねぇ、真に受けるバカなんて……。
ここにいるんですねぇ。なんて馬鹿なんでしょう。脳内腐りすぎでしょ。
そんな自分を慰めるかのように暫く外の景色を眺めていて、現在。
脳内はパニックを起こしてます。