ぐーーんと背伸びをした。
やっと終わった。長かった。
「はーーっ、疲れたーー!」
「おい、そのまま口にするか?普通」
「だって事実ですもん」
「お前なあ……」
大きなため息とともに手が私に伸びてきた。
瞬時にこめかみを押さえた。
けど、触れた部分が熱をもったのは頭のてっぺんで。
「ありがとな。助かった」
ねえ。
どう反応すればいい?
素直に喜ぶ?笑った方がいい?
私が表情に出したのは、なぜか見せたくない涙だった。
「ご、ごめんなさい、っ」
なんで泣いてるの。ここ泣くとこじゃないし!
ここ笑うとこ!ほら、笑いなよ。笑ってみせなよ美紅!
「ご、ごめんな、さいっ……ぅ」
その手が私の涙腺を緩ませるんだ。
撫でないでくださいよ。
そんな優しく触んないで。
もう、こんな時間二度とないんですか?
嫌だ。嫌です。部長っ。
まだ、部長と一緒にいたいよ。
もっと私を見てください。私の成長に褒めてください。行かないで。
私、鬼口部長が──。
「もー、やだーっ。……うぅ、部長やだー……っ」
──あなたが、好きです。