「部長」
「なに」
「あの、私もう……っ」
「何言ってんだよ。自分で最後までって言ったくせに」
「や、ちょっと、そこまでじゃなくって……」
時計の短針は8を指している。
もう外はすっかり暗がりに満ちている。
みんなも帰宅してる時間だ。
残業だってない。
なのに、私は部長室で苦手な人と2人きり。
まさか、ここまで長くやるとは思わないよ……。
なんで部長の転勤整理に付き合わされてるのーーっ!
「もう、帰りたい……」
「……言ったからには責任持てよ」
「だってー」
とにかく帰りたい。お腹空いた。とにかく部長から離れたいっ。
なんでこんなにたくさん資料あるの。
ちゃんと前もってファイルかなんかに入れといておけばいいのに。
意外だった。部長がこんなに整理整頓が苦手だなんて。
使ってないファイルを部屋中探してみれば山ほどあるある。
そんなわけで、この使ってないファイル達に関連の有るもの無いものに分けて、入れてあげた。
部長が割り振ったものを言われるがままにね。