自分のディスクに着いて息を吐く。
椅子に座るとギシッと音を鳴らせた。
「美紅(ミク)、おはよ」
「……おはよ」
「ふふ、朝からドンマイ」
横から椅子を滑らせて近づいてきたにこやかな彼女は私の同期で頼もしい友人だ。
名前は志島真凛(シジマ マリン)。
いいですね〜、その余裕っぷり。
横目で一睨みすると「そんな顔しないの〜」って今にも吹き出しそうな声で言われた。
「こんなに走ったのいつぶりだろ。足痛い、歩けない」
「寝坊したの?」
「そ」
「あーあ、今日すごいハードらしいじゃん?ふぁいと!」
もー!いいよね!真凛は!
何でこんなに余裕っぷりあるのか。
それは彼女は販売部だからだ。
私は商品開発部。
しかも今日は遅番らしい。いつもは百貨店へ直行なんだ。
あれ?でも。
「真凛、今日遅番なのにどうしてここにいるの?」
販売部は滅多に本社には顔を出さない。
だから家でゆっくり出来るんじゃなかったっけ?