休憩がもうすぐ終わる頃2人で部署へ戻った。
まだ、10分前。
それを確認した私はお手洗いへ向かった。
歩きながら先ほどの会話を思い出す。
いや〜、食べ放題だなんていつぶりだろう。
すっごく楽しみ!
太らない程度に食べていかないと、それに相手は仁田くんだ。
あ、私つい『ガッツリ』だなんて言っちゃったっけ!?
うわー、私のイメージが大食い路線になってしまったかもしれない。仁田くんの中の私が。
というか、待てよ?
仁田くんと2人で出かけるんだよね、私。
てことは、……デ!?
うそ、私デートするの!?しちゃうの!?
私初めてなんだよ、デート。
しかも、男の子。
え、どうしよう!ま、真凛に相談する?服は?何着る!?
ぐるぐる脳内で考えが渦をまく。
「どーしよーー……ぉ」
ムンクの叫びのような顔をしながら女子トイレを出た瞬間。
遭遇してしまった。
ゆっくり、その手を下ろして、部長の横を素通りする。
……私最低だ。挨拶ぐらいすればよかったかもしれない。
いくらなんでも相手は私の上司。
気まずくても会いたくなくても、ここは会社なのだから。
そう思ってるのに、やっぱり怖くて何も言えない。
向こうも何か言うことはないんだ……。
なんで、こんなに苦しいのかな。ばかじゃん。
私が素通りしたから話しかけられることもないのに。
なにを私は期待してるの?