なんか視線を感じて仁田くんを見た。
彼と目が合うと逸らされた。
でもそれは一瞬で、ふわりと笑う。
「いえ、何でもないです」
「そっか。で仁田くんはいつ空いてる?」
「再来週の水曜日、空いてますか?」
「うん、空いてるよ」
「あのですね、実は友人から食べ放題のチケット貰っちゃって……」
そう言って黒の財布を取り出して中からそれを出して私に見せた。
そこには『2時間なんでも食べ放題!』と書いてあった。
「食べ放題とか、行きます?」
「行くよ。こう見えて結構ガッツリだから私」
そう胸を張って言っちゃうあたりバカ丸出しだなって思った。
後輩相手に何してるんだか。
それでも後輩は笑って流してくれる。
なんか有り難い。
あの人ならこんな風に笑ってくれない。
鼻で笑うのは確実。
その中には見下すような言葉がたくさん含まれてるんだ。
て、なに考えてるの。やだなあ、今は後輩との時間なのに。
私はスケジュール帳に予定を書き込んだ。