何言ってるの、この人。
アイツって仁田くんのこと?
「なんですか、急に」
「いいから答えろ」
聞いたことのない声に身震いさせた。
なんで、そんなに怒ってるんですか?
「答えろよ」
「っ、仁田くんとは付き合っ……きゃ」
何が起きたのか分からなかった。
でも目線の先は部長の顔と天井で、ヒンヤリ感じる背中は確かにテーブルだと確信した。
「ぶ、ちょう。何してるん、」
「じゃあなんで会議中もさっきもヘラヘラしてるんだよ!」
「へ、ヘラヘラって……」
あれのどこがヘラヘラなんですか。
「離れてください」
「…………」
ほらまた黙る。何なの?黙れば私が従うとでも思ってるんですか?
「部長、私をなめてるんですか?役に立たないからって、馬鹿だからって、名前負けしてる私を、なめてるんですか!?」
言ってから後悔した。
……っ、やだなぁ、泣きそうだ。
自分で自分を傷付けてるなんて、馬鹿みたい。
耳に冷たいのが当たった。
「……離してくだ、……っん」
目を見開いた。
うそ。なにこれ。
やめてよ。なんでキスなんかっ。
どんどん深くなっていくキスに、どんどん涙が溢れ出る。
最悪。部長なんか嫌い、好きじゃない。
なのにどうして、拒めない私がいるんだろう。