季節が変わり、7月に入ると、夏らしい熱と風で、汗が噴き出る。
そんな中、本社ではクーラーの利きすぎた会議室で商品開発のプログラミングを計画中。
ねえ、みんな寒くないの!?
なんで普通な顔していられるの。
いくら地球温暖化が進んでるからってこんなガンガンかけることなくない?!
とにかく、羽織るもの下さい……。
限界過ぎて、鼻水が垂れてきた私は隣に座ってしっかり聞いている新人社員くんに声をかけた。
「仁田くん、ティッシュ……なんて持ってない、よね〜?」
なんて私は下品でだらしないのだろう。
もう女子失格じゃん。
今すぐここから飛び立ちたい。それか地に埋もれたい。いや、今すぐ消えた──。
「ありますよ」
そう言って差し出してくれたポケットティッシュ。
君は私の恩人だー!なんて言えるわけなくて、「ありがとう」とそれだけ言って1枚抜き取って鼻を押さえた。