部署へ戻るとまだみんな来ていなかった。
でも見ない顔が5人。
「あ、こいつ俺の部下の姉田だ」
隣にいる鬼口部長が緊張した顔で立っている子達に言う。
それに合わせて私も挨拶した。
すると緊張した声で「よろしくお願いします!」って言うから一年前の自分が懐かしいなと感じた。
新入社員のみんなはこれからどう成長していくのだろうか。
そんなところも先輩の楽しみの一つでもあるのかな、なんて思う。
……部長は、私のことどう思ってくれてるかな。
──っ!
うわっ、なに今の!?
私、いまなに考えてた……?!
あー、ほんと参ったなあ。
なんで、こんなにドキドキしてるんだろ。
今だってただ頭に手を置かれただけなのに、ドキってしちゃって、一瞬何も聞こえなくなっちゃった。
今日こそ、真凜に報告だ。
困るんだ。こんな胸の高鳴りは。
「そういえば、今日早くねーか?」
「え?」
「今日午後出勤だろ?」
「…………」
私は目をゆっくり閉じて悟った。
もう、自分を殴りたい。
そう思った瞬間だった。