もう、今すぐ帰りたい。
怖い。顔を合わせるのが、辛すぎる。
なんで今日に限って真凛早番なのー?
助けてよ、ヘルプミー!
とりあえず、今日は大人しく、そしてきっちり15分前には会社で待機してる私。
やれば出来る女子!YDJ!
それにしても、みんな遅いなぁ。
遅延?
でも私が見た情報には何も書いてなかったし。
まさかみんな揃って寝坊とか!?
それはないわー。だってみんなしっかりしてるもん。
そうだ、私先輩になったんだっけ。
そう思ったら顔がにやけて、起動していないパソコン画面に下品な顔が映る。
でも負けてられない。
これから昇格試験にもチャレンジする予定だし。
次期に部長になったりして〜えへへ。
「なに、バカ面してんだよ」
「へ……うわっ」
でた。来た。鬼口陽人っ。
ど、どうしよう!これは逃げた方が。
「……どこ行くんだ?」
「い、あ〜……トイレ、ですかね?」
ばかーー!なんで疑問形で答えてんのー!馬鹿ーーーっ。
「なにまた験担ぎしてくんの?それとも電話?」
んな、なんなの!この人!
笑ってるし。
そう、笑ってる。部長が。
よく見るんだよね。そのクシャッとした顔。
私を馬鹿にしてるんだけどね。
でも、なんでかな。
胸がドキドキしてる。
「俺に缶コーヒー買ってきて」
「はい?」
「便所の帰りでいいから買ってこい」
腕組んで顎で指図される。
もうほんと何なのこの人!ムカつくんですけどーーっ。
そんなこと言いたくても言えない私は「はい」と肩を沈ませて外へ出た。