「ごめん!どしたの!?」
着いた先は女子トイレ。
ここなら長居出来るから。
何勘違いされても別にいい。
まず先に電話の向こうで消え入りそうな彼女の声を聞いた。
《……だ》
「え?」
《もう、やだ》
今にも泣きそうな声の彼女は高校で初めて友達になった公美、金谷公美(カナヤ キミ)。
私の大切な親友だ。
「なにかあったの?」
そう問うてみるけど、しばらく黙ったままで。
ズケズケ言うのもこんな弱々しくなってる彼女に失礼だから、言葉を待った。
やっと聞こえたのは、嗚咽だった。
《もう、ね、つらい、っ》
とても重みのある言葉だった。
《いつも、上司に怒られる、っ……何やっても、ダメ出しばっか……ぅ、頑張って、る……のにっ》
公美の弱音を聞いたのは初めてだった。
いつもは出来る女子的存在な彼女だったから。
そんな親友を私は心から尊敬してたし、今も健在だ。
向こうで続く嗚咽。
《みくー、……もうやめよっかなぁ……っ》
私は目を閉じて口を開いた。