私のだ。鳴ったのは。




「すみませんっ」




そう言うと、うんうんと笑ってくれる。


慌てて誰かも見ずに切ると、すぐにまたかかってきた。




今度は大音量じゃなくて手の中で震えるだけ。


だからみんな気付いていない。





表示されてる名前に喜んだ。
高校の友達でいつメンの1人からだったから。



出たいのにもう1分で終わってしまう葛藤があって、なかなか青いボタンを押せない。




我慢しないといけないのは分かってる。




それでも押してしまったのは電話の向こうの彼女に異変を感じたからだと思う。




私は聞こえる声でみんなに伝えると、お腹を押さえながら会議室を飛び出た。