「私さ、高校の時先輩に告ったんだよね」
はい、突然のカミングアウトー。
ビックリでお水鼻に入るところだったよ。
「で、返事はノーだったのね。まあ、そりゃ相手に彼女いたから。でも諦めきれなかったの」
その表情はいつものパワーが萎んでて苦しそう。
「でもね、卒業する前くらいに先輩、彼女と別れたって話を聞いてこれチャンスだってなったわけ。急いでメールして、もう一度告白してみたの」
でも、それは叶わなかった。
また苦しそうにそう笑って言うから、こっちまで苦しくなる。
私はただ黙って話を聞くことにした。
本当は『もういいよ』って止めたかったけど、あまりにも真っ直ぐに伝えてくれるから、遮ることなんて出来ない。
「先輩の後を追いたかった。大学は行ってたらしいけど、そんなこと詮索できないし、仕方なく決めた大学に進んで、……そしたらね、就活中に見つけちゃったの」
それが、いま勤務してる会社から出てきた叶夢先輩の姿。
今度は嬉しそうに笑う彼女。
つられて私も笑顔になった。
「そこからよ、もう先輩求めて必死に頑張って、」
「さすが真凛だね。すごい!」
我慢出来なくなって心から思ったことを言った。
一瞬目を丸くさせた彼女は、だんだんと口を尖らせて「うそつけー」と照れて笑った。