ダメだ。この子には話せない。
もう幸せに浸ってくれてればそれで十分だ。
「で、話ってなによ」
今度は真剣な顔して聞いてくるから、ほんと憎めない子だ。
「いや、もう何でもない」
「えー、なにー!気になるー」
いや、ほんともういいよ。大丈夫。それより。
「真凛は結局、叶夢先輩に告んないの?」
もっと幸せ話聞かせてよ。
私の話なんてくだらない愚痴だらけだから。
「え、な、なに急に……」
「あ、照れた」
「照れてないし」
「お、ツンでた」
「……怒るよ?」
はい、ごめんなさい。そんな笑顔で言わないで?
ほんのり赤く染まった真凛の頬は、まさに恋する乙女で、さらに可愛いなって思う。
「連絡先だって知ってるし、高校同じだし、部活も同じだったんでしょ?」
「うん。てかその話やめ、」
「ません」
強制です。もうこれは。私のタイミング掴ませてくれなかった罰だからね。
別にほんとに大したことないから、どうでもいいんだけど。
真凛は小さく息を吐いて、口を開いた。