「美紅」
「っ!」
「終わったら連絡入れる」
そう言いながら近づいてくる笑顔はまだ甘いままで、やがて静かにキスを落とされた。
ほんの数秒見つめ合う。
さっきからずっと心臓鳴りっぱなしで困る。
「俺と、付き合ってくれますか?」
なんて急に真面目に言うから、心臓が壊れそうなくらい高鳴って。
彼の手が私の目元を拭ったのをみて、泣いてるということに気付いた。
これは、嬉し涙だ。間違いないもん。
大好きな人と一緒にいられるんだから。
「よろしくお願いします……っ!」
陽人さんは、嬉しそうに笑っていた。
……今夜はゆっくり寝れなさそうかも。
そんなことを頭の端で思いながら、専務室をあとにした私でした。