もう10月かぁ。早いなぁと授業中窓の外を眺めていた。僕は高校2年のどこにでもいる普通の高校生。顔も性格も中の上とは周りから言われているが何しろ彼女ができたことがない。そんな平凡な日々が続いて卒業する。そう思っていた。
午前中の授業が終わり、バタバタと担任が見知らぬ?いや、どこかで会った違う高校の制服を着た女子を連れて、
この子が学校の秋休み中の2週間、臨時でこの学校で授業を受ける事になったからよろしく。と担任は言った。
その人は、一度学校の裏山の桜の木の下で空を眺めていた。はっきりと覚えている。
身長は僕と同じくらいだと思うから175センチかな?顔が小さく風になびくサラサラな髪。目鼻立ちがはっきりとしていてハーフ?なのだろうか?手足が長くその佇まいで僕は一瞬にして心を奪われた。
そんな彼女が今、僕の隣の席にいる。
私は、メグミ。君は?
いきなりの問いかけで緊張しながらも、
マサ!よろしく。
それしか言えなかった。

緊張しながらも午後の授業が終わり、放課後に。
メグミさんの行動力に何が何だかわからないうちに、いきなり、この後暇?
そう聞かれ、平然を装いながらも嬉しさがはっきりと心臓に伝わっている。
いきなり手を掴まれ、デートしようか?
満面な笑みで聞いてくる。返答無いまま
屋上の 日の当たる場所でなんと、いきなり、
付き合おうか?
耳を疑った。
積極的過ぎるが僕の理想のメグミさん。
断るはずがない。
よろしくお願いします!
とっさに僕はそう答えた。
メアドを交換、番号も交換してそれから10日間毎日手を繋ぎ何気ない話をしたりあっという間に月日は流れた。
お互い落ち込んでる時は、抱き締めて……ハグをしたりその流れでキスもした。

時間になりお互いまた明日ね。
そう言って別れた。
今日もメグミに会える!そう浮き足だつ足を抑えながら教室に入った。
あれ?隣の席が無い?
周りの奴等に聞いてみても、そもそもメグミの存在を知らない。
そんなはずがない!担任に聞く。
担任もそんな彼女のことは忘れている。

すぐさまメグミの電話へ。応答がない。
今までの俺はなんだったんだ?
動揺が隠せない。
そんな彼女とはしばらく音信不通のまま、頭に入らない授業を受けた。

そういえば、今日でメグミと会って2週間だなぁ。と深いため息。

午前中の授業が終わり、あてもなく裏山の桜の木の下でぼーっとしていた。

俺の初恋はあっけなく終了。



マサ!
聞き間違い?

マサ!マサ!
振り向くとメグミの声。メグミの姿がそこにあった。
嬉しくて仕方ない!
強く抱きしめ、今までの寂しさと不安で俺は泣いた。

抱きしめた感触だけしか残っていなかった。メグミはその場所にはいなかったのだ。

10年前の高校の時の長い夢を見ていた気がする。メグミのことは忘れられず、今に至る。

久しぶりに学校の裏山に行った。
今なら言えるのになぁ。
あのときと同じ季節。
相変わらず、ぼーっとしていた。
メグミ、会いてえ。
自然と涙がこぼれる。


マサ!
……!?
振り向くと10年前と同じ容姿なメグミがはっきりと、今度こそはっきりと俺の目の前にいた。
ゆっくり歩み寄り、一番伝えたかった言葉を、今。
好きだ。結婚しよう。
メグミは、うなずく。


今考えれば、10年後の未来からやって来た将来の、いや、一生の初恋相手。
そう思ったらにやけてきたのがばれたのか、メグミは俺の全部を見抜かしたようでニヤニヤしている。


これが、俺の高校2週間。いや、一生で一番の初恋物語。

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