「白石さん!」

「あ、宇多くんこんにちは」



今日もふわふわ宇多くん。

いつもみたく、廊下側の窓から顔をだす。

目はきらきらしていて、ほんとうに可愛い。



「白石さんもう帰り?」

「ううん。実は数学の小テストつまずいちゃって。居残りしなきゃなんだー」



スクバの中から赤バツだらけのプリントを取り出して、宇多くんに見せる。


すると宇多くんが、「わぁ、」って驚いた声を出した。おい。



「白石さん数学苦手なの?」

「うん。一番やだ。でも赤点取ったのは初めてなんだよ。今やってるとこ意味わかんないんだもん。本当にやだ」



口を尖らせて、盛大なため息をつく。


数学ができるあっこは今日に限って、あっこが歴代最高に大好きなドラマの再放送を見るために足早に帰ってしまった。冷たい友達だよほんと。ばかばか。



「…あのさ、よかったら俺──」

「はるぅー、行くぞー」



はる。遠くから、宇多くんを呼ぶ声がした。