「中途半端は可哀想だよ、って言ってるの」
あっこは恋愛話になると、いつも目つきが変わる。
だから私は密かに、
恋愛のスペシャリスト・あっこ
と名付けている。
「わかってるよー?でも友達になってって言ってきたのは、宇多くんなんだもん」
「そこでおっけーするんじゃなくて、最後まで断ることが本当の優しさなんじゃない」
「……うーん。でも断っても、可哀想だよ」
「期待させるほうがよっぽど可哀想だよ」
……うーん。
やはり恋愛のスペシャリストの言うことは難しいな。
ぜんぜん頭に入ってこないんだもん。
だって私、あっこが飲んでるいちごミルク美味しそうだなあー、飲みたいなあー
って、
まったく関係の無いこと思っちゃってる。
「まあ、白石が宇多くんを好きになったら、
話はまた別だけどね?」
「ないな」
「即答かよー。惨敗だな、あの子も」
あっこがつまんなさそうに口を尖らせる。
私のタイプを誰よりもいちばん知っているくせに、あっこったらそんなことよく言えたもんだ。