「なんか邪魔じゃない?」
「呼んだのは、俺だろ」
「あ。そっか。なんか喉渇いたな。タケちゃん、なんか飲む?」
「冷蔵庫にジュースあったかも」
「取ってきてもいい?」
「じゃあ、頼むよ」

タケちゃんの家には通いなれているから、よく使うものがどこにあるかはわかっていた。
キッチンの電気をつけて、戸棚からグラスをふたつ取り出した。
冷蔵庫の中の炭酸飲料水を取りだすと、柊碧人からの着信があった。
話すわけないじゃない。そう思って鳴りやむのを待った。思ったより、長い着信に苛立つ。

「かけてこないでよ」

恋人ごっこなんか、学校の中だけで充分だ。
ポケットの中にしまおうとすると、その腕を後ろから取られてしまった。

「きゃっ」
「美優。電話?」

タケちゃんがわたしの腕を掴んだまま尋ねる。